【書評】「医学部受験の真実」を読んだ感想

最近ちょこちょこ見かけるようになった『武田塾』の本です。武田塾は「参考書での勉強が最強」と謳っている塾です。さて、この本ですが、正しいことも間違ったことも言ってるし、同じことを何度も書いていて正直好きになれない(笑)というのが感想です。本を出版するならもう少し内容を洗練して欲しいと思います。

第1編 医学部受験のウソとホント

1章 医学部専門予備校および大手予備校医系特別コースについて

この章の主張は以下です。

①:医学部の入試問題になんら特異性はない。なので、医学部専門予備校やその道のプロなどに高額な料金を払う必要はない。

ーこれは確かにそうですね。数学に限って言えば、別に医学部だからと言って特別な対策は必要ありません。制限時間に対する問題数が多いので、素早く正確に解く力があればOKです。

②:医学部に必要なのは参考書の完成度の高さと、それを身につけた上での徹底的な過去問演習と研究である。

ーこれも間違っていないと思いますが、どの参考書をやるかは結構問題かもしれません。巻末に参考書のリストがあり、「やさしい理系数学」を完璧にしろって書いてあるのですが、それはオーバーワークだと思います。「やさしい理系数学」を完璧にしてたら過去問研究する時間なんておそらく無いです。ちなみに、この問題集は「合格の天使・医学部受験の叡智」で東大理科Ⅲ類の合格者も合わなくて投げだしたと書いてあります(p.330)

医学部予備校なんて要らないと言ったのに武田塾メディカルを作ったのは、この高い完成度をより追究したいからだそうです。

③:予備校のクラス分けの欠陥について

ーこれは本をお読み下さい。

④:医学部の偏差値は60台だが、この偏差値は医学部受験者の中での偏差値なので、実はとんでもなく高い

ーこれは何のことを言っているのでしょうか?全統医進模試ですかね?河合塾の全統記述模試で中堅医学部の偏差値は65~68くらいなのですが。

2章 医学部受験対策の勘違いと真実

この章の主張は以下です。

①:偏差値に惑わされず、試験問題の相性を見て志望校を決めるべきである。

ーこれはその通りですね。誤解している人もあまりいないような気はしますが。

②:私大専願や難関国公立専願などの志望別到達目標

ー本書をご覧下さい。

3章 高得点が取れる勉強法

この章の主張は以下です。

①:英語で点数を稼ごう

ーこれはどうなんでしょうね。英語は実力通りの点数が取れる科目なので、英語力を磨かないといけないことは事実です。また、埼玉医科や順天堂、東邦などは英語の配点が数学より高いです。それを考えても、英語の大切さはわかると思います。でも、点数を稼ぐ意識を持つのはまずいと思います。あくまで、全ての科目で合格最低点(の割合)を狙えるようにするのが大切です。苦手な科目がどうにもならない時に得意科目で補う、という段階に移行しましょう。

②:過去問に取り組むタイミングについて

ー本書をご覧下さい。

③:生物は楽に合格点を取れるが、高得点は取れない。物理は高得点を狙えるが、演習時間は生物より遥かに時間をとられる。

ーこれは間違っている可能性が高いですね。生物が楽に合格点を取れるってことはないでしょう。覚えなきゃいけない単語が1300くらいありますし。そこそこは取れるが、合格最低点を取るのは大変です。それにこれは大きな見落としがあって、物理は1回出来るようになったら実力を維持するのは簡単ですが、生物は常にメンテナンスが必要で、それがかなり大変です!人間は忘れる生き物です。それにほとんどの大学は実験考察がメインなので、暗記では乗り切れない、ということは覚えておいて下さい。

④:化学は異常なまでに難しい科目である。

ーこれに賛同する人は皆無でしょう。もし異常なまでに難しいのなら、そんな科目で点数を取る必要はありません。

⑤:現役生と浪人生の勉強計画。浪人生は1日15時間勉強しよう!

ーこれはどうなんでしょうかね。個人的には1日15時間も勉強したら頭がおかしくなります(笑)勉強時間を目安にするのは個人的には好きではありません。馬力をいかした記憶や演習量で合格できるのなんて私立文系から中程度の国公立くらいまでではないでしょうか。これは「合格の天使・医学部受験の叡智」にも書いてあります(p.27)武田塾の合格実績は調べていませんが、私立文系がメインではないでしょうか?私立文系であれば確かに物量作戦でどうにかなるでしょう。医学部などは、原理や概念の深い理解を問うています。それを時間と量でどうにかするのはナンセンスでしょう。それは、東大や京大が受験生に何を求めているのかを見ればわかると思います。

様々な問題を数学で扱うには,問題の本質を数学的な考え方で把握・整理し,それらを数学の概念を用いて定式化する力が必要となります。このような「数学的に問題を捉える能力」は,単に定理・公式について多くの知識を持っていることや,それを用いて問題を解く技法に習熟していることとは違います。そこで求められている力は,目の前の問題から見かけ上の枝葉を取り払って数理としての本質を抽出する力,すなわち数学的な読解力です。本学の入学試験においては,高等学校学習指導要領の範囲を超えた数学の知識や技術が要求されることはありません。そのような知識・技術よりも,「数学的に考える」ことに重点が置かれています。

出典:東京大学 https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_01_18.html

問題作成にあたっては,単発的な個別の数学的知識を問う問題や,解法の暗記によって対処できるような問題を排するように心掛けています。さらに,出題範囲に含まれている複数単元でそれぞれに学習する数学的な知識を論理的・系統的に理解することによって問題解決に到達する
いわゆる「融合問題」の出題を通して,数学的な知識の活用力も評価します。

出典:京都大学の学力検査の出題方針について http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education-campus/policy/ad_policy/undergrad/documents/housin.pdf

⑥:基礎固め→センター対策→点数が取れるようになった科目から二次対策へ

ーこれには反対します。経験上、センター対策だけをしてセンター試験で点数が取れるようになる人はいません(特に国公立文系)。二次試験の勉強がセンター試験の勉強にもなるのが普通なので、二次試験対策を優先すべきです。これは「合格の天使・医学部受験の叡智」でも注意を促しています。

4章 医学部合格の秘訣は、逆転合格の武田塾方式にあった

この章の主張は以下です。

①:偏差値を上げるには参考書を使った自学自習が一番

ーこれは賛成もするし、否定もします。基礎と標準が身についている人は参考書学習が1番良いのは間違いありません。周りにいる医学生のほとんどは、浪人生の時は授業に出ていなかったと証言しています(笑)でも、基礎が身についていない人が参考書学習できるかどうかはかなり怪しいです。特に数学なんて、参考書が(厳密には)間違っていることが多く、誰かに質問しないと前に進めないことは多々あると思います。

あと、偏差値を上げるなら参考書学習が確かに最適です。模試なんて大部分が頻出問題で構成されていますので。ですが、偏差値を上げることを目標に勉強したら合格できないんじゃないでしょうか。あくまで入試問題が解けることが大事です。偏差値はあくまで、頻出問題がどれくらい出来るかの目安です。

②:英単語の効率的な覚え方

ー本書をご覧下さい。

③:ケアレスミスを軽く扱う人は合格できない

ーこれは僕の経験上も間違いありません。

④:医学部に合格するための基本は、標準的な問題を確実に得点すること

ーこれも正しいと考えます。「標準的な問題」が何を指すかが難しいところですが。

⑤:武田塾メディカルとは

ー本書をご覧ください。本の中で、武田塾メディカルにさえ通わない人が合格できる、とあるので、そこまで自分の塾をプッシュしているわけではありません。

第2編 医学部逆転合格への最適ルート

ー本書をご覧ください。

ただ、気をつけるべきは、ここに書いてある参考書を全てやっても、皆さんが考える力を養わなければ合格は無理ということです。ここに書いてある参考書をやって得られるのは問題を解くための道具です。参考書に載ってる問題を全て覚えれば、入試では見たことある問題ばかりになる、とは考えないで下さい。そんな参考書は存在していません。

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