【医学部予備校講師が教える】医学部受験で生物を選択するか?物理を選択するか?

最初に結論を申し上げますと、好き嫌いで選ぶのが1番です。どちらを選択しても合格への道のりが楽になるなんてことはありません。どちらも厳しい道のりです。

・物理はわからなくて苦しむ

・生物は覚えられなくて苦しむ

どちらが良いのかは人それぞれです。他人が決めるものではありません。物理での苦しみは数学を学んでいれば想像できると思います。生物がどう苦しいのかは想像しづらいと思いますので、それを紹介しようと思います。

物理を選択するメリット・デメリット

物理を選択するメリット

物理を選択するメリットは以下のものがあります。

・時間をかけて勉強すれば高得点を狙える

・数学の実力が上がると、物理の実力も上がる。逆もまた然り

・入試問題に典型問題が出ることが多い(努力が結果に反映されやすい)

・覚えることが少ない

努力が結果に反映されやすいと書きましたが、それは沢山の問題集をこなしたから点数が上がるという事ではありません。数学と同じように、頭を使って考えた分だけ実力が上がる、ということです。

物理を選択するデメリット

物理を選択するデメリットは以下のものがあります。

・独学は厳しいので、気軽に質問できる人がいないと大変

・論理的思考ができないと成績は全くあがらない

・マスターするにはある程度の時間がかかる(少なくても1年はかかる)

生物を選択するメリット・デメリット

生物を選択するメリット

・合格最低点-20点くらいであれば3か月くらいで取れるようになる

・独学が容易である

・偏差値換算する大学(東海、日大)では有利になる可能性がある

・大学入学後に若干、楽ができる

3番目の偏差値換算についての補足

厳然たる事実なのではっきり言ってしまいますが、レベルが低い生徒は生物を選択することが多いです。勉強が全然できないのに物理を選択する人はほとんどいません。逆にある程度勉強が出来る人は物理を選択する場合が多いです。例えば、東大や医科歯科、慶應の医学部はほとんどが物理選択者です(チューターの話を聞く限りでは7割くらいが物理選択)。

 

よって、周りのレベルが低い(=平均点が低い)ので生物で高得点を取れれば偏差値はかなり高く出る可能性があります(特に東海大学)。逆に物理は皆が出来るので、高得点を取っても偏差値は高く出ない可能性があります。このように偏差値換算されると生物選択者が有利になる場合があります。

 

昔いた生徒でこんな名言を残した女性(現役で私立の医大に合格)がいました。「医学部受験生の3割はポンコツ」。過激な発言ですね(笑)でも、この業界で働いていると、ちょっと言いすぎだけど大きくは外れてないな、と思います。ポンコツと表現された人達は、勉強ができない人達ではなく、勉強しない人達です。高い金出して医学部予備校に通わせてもらってるのに遊んでばっかいる人は驚くほど多いです。そして経験上、そんな人達のほとんどは生物選択です。

4番目の入学後に若干、楽できるについての補足

2017年度から、医学部のカリキュラムが変更されました。詳細は省きますが、国際基準に準じたカリキュラムになりました。このカリキュラムの特徴は臨床実習が多いことです。今までは講義(座学の授業)が多かったのですが、その時間を削って実習を増やしました。しかし、医学生が覚えるべき知識は減っていません。よって、単なる知識は自学自習で身につけないといけなくなったのです。

 

今までは講義で「ここを覚えておくように」と言われて、それを覚えれば良かったのです。しかし今後は、自分で教科書を読み進め、大切な所を発見し、それを自主的に覚えていくことになります。高校で生物を履修しておくことは、医学の予習に繋がります。ここである程度覚えておけば、若干ラクができます。

生物を選択するデメリット

・いくら頑張っても高得点は取りづらい

・覚えることが膨大である=力を維持するのが大変

日本語能力が低いと、考察問題に歯がたたない可能性がある

「覚えることが膨大である」についての補足

『生物用語の完全制覇』の前書きには、生物の教科書の索引数について以下のような記述があります。

教科書の索引を見てみると、「生物基礎」では400~700語、「生物」では900~1000語が掲載され

出典:生物用語の完全制覇 はじめに

重複している索引もあるので、詳しいことはわかりませんが、覚えるべき単語だけで1000は下らないのが生物です。生物で定評のある『大森徹の最強講義117講』の索引は用語だけで4000くらいあります。

生物と国語の関係

物理のバックグラウンドが数学である、というのは多くの人が実感していると思います。それと同様に生物のバックグラウンドは国語です。現代文の力が大切なのではなく、日本語の能力がとても大事になってきます。日本語能力が低くて、生物がどうにもならない生徒を本当に沢山見てきました。ここだけは必ず注意して下さい。

生物に必要な日本語能力とは

先程も書きましたが、現代文の力ではなく、日本語の能力です。具体的には「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」に出てくるような問題が解けるかどうかです。例えばこんな問題があります。前提知識は不要ですので、是非考えてみて下さい。

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も最適なものを選択しから一つ選びなさい。

セルロースは  (  )  と形が違う

①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素

出典:AI vs. 教科書が読めない子どもたち p.204

 

 

 

 

答えは①のデンプンです。③と誤解する人が多いらしいのですが、そんな人達が生物を選択すると厳しいかもしれません。

実際の入試問題を見てみよう

埼玉医科大学2018年の生物大問2を見てみましょう。偏差値だけで見れば、埼玉医科大学は下位の大学です。解く必要はありません。

以下のことに気づくと思います。

・文章が長い

・文章を読みつつ、グラフも見ないといけない

・問題文が「結果の解釈として適当なもの」や「推定できること」となっている

 

この年は理科2科目で制限時間が100分で、生物の大問は5個ありました。かなりのスピードを要求されているのがお分かりいただけますか?大量の文章を正確に読み解き、グラフも読まないといけません。そして、「推定できること」を選ぶということは暗記だけでは通用しないことを意味しています。推論の力を要求されます。

医学部の生物で必要とされる力のまとめ

・1000~2000くらいある単語を正確に覚える力

・日本語の文章を正確に早く読む力

・グラフなどを正確に読み取る力

・推論する力

このどれが欠けても苦戦すると思います。だからと言って、物理選択を勧めているわけではありません。あくまで、生物を安易に選択しないで下さい、という注意喚起です。生物を選んだら、それはそれで大変そうだなと感じてくれれば幸いです。以上を踏まえると、最初に申し上げましたように、どちらを選んでも厳しい道のりなので、好き嫌いで選びましょうということです。最後になりましたが、国公立の生物はもう少し楽です。あくまで私立の医学部についてのお話です。

まとめ

・物理か生物かは好き嫌いで選びましょう

・物理は数学の力が必要で、生物は国語の力が必要です

・生物を安易に選択するのはやめましょう

・生物は暗記だけでは乗り切れません

・偏差値換算されるなら生物がお勧め

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