定義、原理が分かっていないと手が出ない入試問題

【総論】で数学(科学全般)を勉強する上で定義や原理を理解して覚えることが大切だと言いました。定義や原理が分かってないと手が出ない入試問題を紹介します。身をもって体験して下さい。そして、明日の勉強からは、知識のあいまいな単語については定義を確認するようにして下さい。そして、原理がわかっていない問題はきちんと原理を習得して下さい。原理のほとんどは教科書を読めば書いてあります。書いてないものについては、別の記事で紹介する予定です。

0:確率と場合の数の違い

知らない人が意外に多いので、この場をちょっとお借りして説明しておきます。結論から先に言うと

場合の数:問題文で指定されない限りモノは区別できないものとして考える

確率;問題文がどんなものであろうと、モノは必ず区別して考える

ということを前提にして問題を解かなければいけません。このルールは必ず覚えて下さい。これを知らないが為に確率が出来ない人が本当に多いのです。

 

例えば、コイン 2 枚を投げる試行を考えます。

・起こり得る場合の数は、コイン 2 枚は区別できないものとして考えるので(表、表)(表、裏)(裏、裏)の 3 通りです。

・確率の分母を考えるときは、コインに区別がつくので(表、表)(表、裏)(裏、表)(裏、裏)の 4 通りです。

場合の数と確率では数え方のルールが違うのです。確率で全てのモノを区別するのは、同様に確からしいを気にするからです。数研出版の教科書には以下のように書いてあります。

1 つの試行において、根元事象のどれが起こることも同じ程度に期待できるとき、これらの根元事象は「同様に確からしい」という。

出典:数研出版 数学A p.37

例えば、袋の中に赤玉 1 個と白玉 9 個が入っているとします。この中から玉を 1 つ取り出す試行を考えます。場合の数としては(赤)(白)の 2 通りしかありません。じゃあ白玉が出る確率は \displaystyle \frac{1}{2} だと言われたら直感に反しますよね?それは赤玉が出るのと、白玉が出るのが同様に確からしくないからです。白玉の方が出やすいに決まってます。これを防ぐために、確率ではすべてのモノを区別します。区別したのなら「同様にらしい」は保証されます。

 

最後にどうでもいい話をしておきます。数学なのに「らしい」がつくのに違和感はありませんか?それは実は「同様に確かである」が数学的に証明できないからです。サイコロの各目が出る確率が等しいなんて、証明できないのです。なので、あくまで同様に確か「らしい」なのです。

1:極値の定義を知らないと解けない。福岡大学2016年度 問Ⅲ (ⅰ)

問題:\displaystyle f(x)=(x-1)\sqrt{-x^2+4x-3}  (1\leqq x \leqq 3) とする。関数 f(x) の極値を求めよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出来ましたかね?計算するのがめんどくさいという人にヒントを与えておきます。ただ、ミスリードはしておきます。

\displaystyle f'(x)=\frac{-(2x-5)(x-1)}{2\sqrt{-x^2+4x-3}} となるので、増減表は以下のようになります。

 

 

 

このとき、x=1 で極小値 0 とすると間違えになります。極小値はありません。x=\displaystyle\frac{5}{2} で極大値 \displaystyle \frac{3\sqrt{3}}{4} は正しいです。そもそもf'(1) は 0 ではないですしね。

 

極小値の定義を調べてみましょう。僕が持っている数研出版の数学 Ⅲ の教科書には以下のように書いてあります。

x=a を含む十分小さい開区間において、「x\neq a ならば、f(x)>f(a) 」が成り立つとき、f(x)x=a で極小であるという。

出典:数研出版 数学Ⅲ p.188

つまり、微分がどうなんて関係なく、谷になっていればそこは極小値と言うのです。この問題の場合、x<1 の部分がないので谷になっていると断定できません。よって x=1 で極小とはなりません。

 

他に良く間違える例として、y=|x| は x=0微分不可能ですが、極小となります

 

極値の定義は必ず頭に入れておいて下さい。

 

2:区分求積法の原理を知らないと解けない。久留米大学2016年度 大問4

問題;座標平面上で、関数 \displaystyle f(x)=\sqrt{6-x} で表される曲線 C:\displaystyle y=f(x) を考える。\displaystyle 4\leqq t \leqq 5 を満たす実数 \displaystyle t に対して、曲線C上の4点\displaystyle (t , f(t) ) , (t , 0) , (2 , 0) , (2 , f(t)) を頂点とする四角形の面積を\displaystyle S(t) とする。

区間【4 , 5】を n 等分してその端点と分点を小さい順に\displaystyle t_0=4 , t_1 , t_2 , \cdots , t_n=5 とする。極限値 \displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac {1}{n}\sum_{k=1}^n S(t_k) の値を求めよ。ただし、\displaystyle n は正の整数とする。また、S(t)=(t-2)\sqrt{6-t} である。

 

僕の手持ちの数研出版の教科書には区分求積法の原理について以下のように書かれています。

 

\displaystyle \int_a^b f(x)dx=\lim_{n \to \infty}\sum_{k=0}^{n-1}f(x_k)\Delta x=\lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^n f(x_k)\Delta x

ここで \displaystyle \Delta x=\frac{b-a}{n}  ,  x_k=a+k\Delta x

数研出版 数学Ⅲ p.243

 

これだけ見て、いきなり使えるものではありません。これを導く過程が教科書には載っています。それをマネすればこの久留米の問題は解けます。逆に言えば、この問題が解けないのは、教科書に書いてあることが身についていないってことです。

 

もちろん、授業で聞いて一発でわかるものではありません。順番としては

・原理を習う(この段階では全然わからん。もしくは何となくわかる)

・区分求積法の問題を色々解く(少しずつ何をやってるかがわかる)

・もう一度、手を動かしながら原理を理解しようと試みる(納得できる。むしろ納得するまで考える)

これが一般的だと思います。パッと読んで、パッとわかる人なんていませんよ!努力あるのみです。

 

さて、話は飛びましたが、この問題に関しては何の解説もつけません。教科書と自分の手と頭を使って考え抜いて下さい。分かりやすく説明してくれたら理解できて使えるようになるなんて幻想ですよ。自分の手と頭を使って腑に落ちたことしか入試本番では使えません。

 

ですので、解説は載せません。区分求積法を使った後の式だけは載せておきます。

 

\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac {1}{n}\sum_{k=1}^n S(t_k) =\int_0^1(2+x)\sqrt{2-x}  dx となります。

 

3:漸化式を解く原理が分かってないと解けない 国際医療福祉2018 第2問

第2問を解き進めていくと、以下のような漸化式が待ち構えています。m, n は正の自然数です。

\displaystyle a_{n+2}=\frac{1}{3}a_n+\frac{2}{9}

この漸化式を解くのですが、更に表現を変えて「このとき、 \displaystyle a_{2m}m を用いて表せ」とあります。

 

さて、1個飛ばしの漸化式は正確に解けますか?ちなみに \displaystyle a_2=\frac{5}{9} です。いつも通り、答は書きますが、解説はしません。自分の頭で考えないと成長しないからです。

 

 

 

 

 

 

 

答: \displaystyle a_{2m}=\frac{1}{3}+2\left(\frac{1}{3}\right)^{m+1}

 

例えば、 \displaystyle a_{n+1}=2a_n という漸化式を解くと \displaystyle a_n=2^{n-1}a_1 となります。2の指数が n-1 になる理由(原理)は本当に理解できていますか?

 

これが理解できていれば、国際医療福祉の問題は解けます。理解せずに、いつも n-1 だからと言って、何も考えずに覚えてしまった人は解けないでしょうし、いつまで経っても数学は苦手なままでしょう。

 

「暗記をするな」と言うつもりはありません。しかし、暗記するのであれば必ず

①:原理を理解する

②:暗記する

この順番を守って下さい。

 

\displaystyle a_{n+1}=2a_n のような問題は、正直反射で解きます。n-1 乗でいいのかな?などとは全く考えません。逆に、考えているようではダメです。

 

\displaystyle a_{n+2}=\frac{1}{3}a_n+\frac{2}{9} のような反射では出来ないような問題が出た時に、①に戻って考えるのです。こういうことを「基礎が出来てる」と言います。基礎とは物事を考える土台を指します。

 

受験生レベルで、\displaystyle a_{n+2}=\frac{1}{3}a_n+\frac{2}{9} を反射で解けるような人はいないと思いますよ。皆、原理に戻って考えて解いているはずです。僕も反射では解けません。

 

現役で慶應医学部に入った人に、目の前で解いてもらいましたが、やはり原理に立ち戻って考えてました。

 

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