【書評】合格の天使「医学部受験の叡智 受験戦略 勉強法の体系書」を読んだ感想

合格の天使という名前の塾が出版している本です。塾のHPはこちらになります。医学部を目指すのであれば、一読するべきだと思います。季節講習を1コマ削った時間と費用でこの本を読む価値があるのだけは間違いありません。名前はものすごく怪しいですが、本の内容はとても充実しています。教科書の扱い方など、僕の考えと似ている所もあり共感しながら読みました。ただ分厚過ぎて(全部で363ページ!)、1回読んだだけで頭に入ることはないでしょう。

合格の天使とは

詳しい説明はホームページに飛んだ方が早いので、ざっと紹介します。

・東大の上位合格者または理科三類の学生が講師

・東大理Ⅰから再受験で理科Ⅲ類に入った人(現在は医師)が設立

・リアルの塾、web個別指導、講義配信もあり

・巷の受験に関する知識は間違っていることが多いので真実を知ってほしい

・受験に地頭の良さは関係なく、勉強のやり方が大事

・「圧倒的」という言葉が好き(笑)

ざっと、こんなものですかね。ホームページや本の情報量が多すぎて簡単にはまとめられません。東大と同じく、本郷にあるので近い人は一度訪ねてみてはどうでしょうか。僕もちょっと聞きにいきたいくらいです(笑)

医学部受験の叡智 受験戦略 勉強法の体系書の内容

医学部受験に対する誤解

「医学部に合格できる=難問も解けるようにならないといけない」というのは大きな誤解である。これは事実です。大学受験では解けなくても良い問題が出題されることが多々あります。それにはまってしまうと不合格に近づきます。難しいのは、それをどうやって判断するか、です。この本では、この辺りにも言及されています。ここに書いてしまうと著作権に反しそうなので、気になる人は読んでみて下さい。

また、同じようなことを保護者様などによく質問されます。それは次のような質問です。「地方の国公立医学部を狙っているのだが、偏差値的には東大の理科一類と同じくらいなので、東大レベルまで勉強する必要があるのか?」これには「NO」と答えています。偏差値は似たりよったりですが、問われている内容は全然違います。そこをしっかり理解して勉強の計画を立てないといけません。このような誤解をしている受験生や保護者様は、是非一度手にとってみて下さい。

入試問題の分類

入試問題を以下の4つに分類しています。表現は少し変えています。

①:基礎標準問題

②:簡単な初見問題

③:難しい初見問題

④:難問

そして、医学部に合格するためには①と②が確実に解けるようになることが必要とあります。これには完全に同意します。その上で、③と④に課せられた役割も知っておくべきです。④の役割に関しては、眼からウロコでした。一言で言えば、大学側が取らせる予定のない問題ということです。詳しくは本書を読んで下さい。

過去問至上主義

インターネット上には、「〇〇大学に行くためには△△の参考書をやる必要がある」のような情報が沢山あります。僕自身は、こんなの意味ないなと思っています。なぜなら、このようなことを質問する人たちは「△△をやれば、入試が全て初見問題ではなくなる」ということを期待している場合がほとんどだからです。薦められている参考書をやれば記憶だけで入試を突破できる、なんてことはありえません。これが出来るのは私立文系か、MARCH未満の理系だけでしょう。それは、例えば東京大学が高校生に要求していることを見ればわかります。

1)  数学的に思考する力

様々な問題を数学で扱うには,問題の本質を数学的な考え方で把握・整理し,それらを数学の概念を用いて定式化する力が必要となります。このような「数学的に問題を捉える能力」は,単に定理・公式について多くの知識を持っていることや,それを用いて問題を解く技法に習熟していることとは違います。そこで求められている力は,目の前の問題から見かけ上の枝葉を取り払って数理としての本質を抽出する力,すなわち数学的な読解力です。本学の入学試験においては,高等学校学習指導要領の範囲を超えた数学の知識や技術が要求されることはありません。そのような知識・技術よりも,「数学的に考える」ことに重点が置かれています。

2) 数学的に表現する力

数学的に問題を解くことは,単に数式を用い,計算をして解答にたどり着くことではありません。どのような考え方に沿って問題を解決したかを,数学的に正しい表現を用いて論理的に説明することです。入学試験においても,自分の考えた道筋を他者が明確に理解できるように「数学的に表現する力」が重要視されます。普段の学習では,解答を導くだけでなく,解答に至る道筋を論理的かつ簡潔に表現する訓練を十分に積んでください。

3)  総合的な数学力

数学を用いて様々な課題を解決するためには,数学を「言葉」や「道具」として自在に活用できる能力が要求されますが,同時に,幅広い分野の知識・技術を統合して「総合的に問題を捉える力」が不可欠です。入学試験では,数学的な思考力・表現力・総合力がバランスよく身についているかどうかを判断します。

出典:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_01_18.html

東大がこのような公式見解を出しているのに「東大に入るために△△の参考書が必要だ」などと言うのは愚かです。私立の医学部でも同様です。なので、本書では過去問至上主義を唱えています。知識は教科書+「1対1対応の演習」で十分で、残りの時間は過去問です。僕もこれには賛成します。詳しくはやはり本書を読んで下さい。

各大学の医学部の分類(この本には間違いがあります)

「センター重視、高得点型」や「二次試験重視、低得点型」などで医学部を全部で13に分類しています。これにより、勉強をどの段階まで進めるのかが変わってきます。繰り返しになりますが、「国公立医学部は難関だから、難しい問題も解けなきゃ!」なんて思っている受験生がいたら要注意です。ただし、この分類には2つ間違えがありますので指摘しておきます。この本では私立大学を高得点型か低得点型かに分類しています。基準は70%で、合格最低点が70%以上であれば高得点型です。

間違えその①:日本大学を低得点型に分類している

2018年度入試の日大の合格最低点は230/400点です。60%弱ですね。しかし、これは標準化された得点です。標準化がどういうものかは明確に定義されていませんが、偏差値換算というのが多くの医学部予備校の認識です。ですので、日大に合格するためには各科目の偏差値の合計が230必要だと考えて下さい。日大医学部の正規合格の学生何人かに聞いたところ、素点では最低70%くらいは必要と言っています。ですので、どちらかというと、高得点型です。

間違えその②:東海大学を高得点型に分類している

同じ理由で、東海大学を高得点型に分類しているのは間違いです。東海大学の2018年度の合格最低得点率は82%です。そして、これは標準偏差を用いて標準化しています。ですので、偏差値換算と見て良いでしょう。東海大の数学で82点とるのは、ぶっちゃけ僕でも難しいです(笑)ですので、点数ってことはないです。だからと言って、偏差値82も取らないといけない、ということはないと思うので、どんな計算しているか謎です。標準偏差を用いて、標準化して100点満点にする方法を知っている方がいらっしゃったら是非教えて下さい。

Windomという予備校の出している2018年度の東海大学医学部の正規合格者のコメントにこんな自己採点表があります。

英語:70%くらい

数学:45%くらい

生物:60%くらい

これくらいでも合格しているので、受けようと思っている方は参考にしてください。

その他

とても全てについて書くことは出来ないので、気になるであろう見出しだけ掲載しておきます。

・誰でも医学部に合格できる客観的な根拠

・医学部に不合格になる受験生がやっている勉強法や対策

・医学部に合格するには勉強量や努力量以前に優れた受験戦略が必要

・合格者と不合格者を分けているある秘密

・成績が伸びない場合にチェックすべきポイント

・「センター試験の問題が基礎的=基礎力が得られる」は誤り

・多くの受験生が犯す戦略的視点なき志望校・併願校の決定

・受験生物に隠されたある事情

・年間計画の立て方

・各教科の勉強法

繰り返しになりますが、医学部を目指すのであれば、一読しても損はないです

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