【基礎問題精講・数学ⅠA】例題127の解説とその背景

基礎問ⅠAの中で質問が最も多いのが例題127です。これをかみ砕いて説明します。ちなみに、分かりにくいのは以下の2点のせいです。

①:ⅠAの範囲なのに \displaystyle p_n という表現を用いている。これは数列で初めて出てくる表現です。

②: \displaystyle \frac{p_{n+1}}{p_n}-1 を持ち出している。簡単な問題集だと思って本書を始めた人にはかなり厳しい書き方です。

例題 127 の解説

解説前の準備

計算して得た数値の意味はちゃんと分かっていますか?\displaystyle n は自然数とします。

\displaystyle p_{n+1}>{p_n} という \displaystyle n の不等式を解いたら \displaystyle n<4  を得た

これが何を意味しているのかをちゃんと考えていますか?これをしないと数学は出来るようになりません。5秒でも良いので考えて次に進んで下さい。

 

 

 

 

答は以下です。

\displaystyle n=1, 2, 3 のときのみ \displaystyle p_{n+1}>{p_n} という大小関係が成り立つ

つまり

\displaystyle n=1 として、\displaystyle p_2 > p_1 が成り立つ

\displaystyle n=2 として、\displaystyle p_3 > p_2 が成り立つ

\displaystyle n=3 として、\displaystyle p_4 > p_3 が成り立つ

これらを合わせると

\displaystyle p_1 < p_2 < p_3 < p_4

という大小関係を得る。簡単だと思うのですがいかがでしょうか?本問では、この知識しか使いません。

例題127の解説

準備と同じように

\displaystyle p_{n+1}>{p_n}

を解くことを考えます。つまり

\displaystyle \frac{10(n+1)}{(n+6)(n+5)} > \frac{10n}{(n+5)(n+4)}

を解きます。単なる不等式なのでこれは解けますよね?これを解けない人がいたら中学生の範囲からやり直して下さい。これを解くと

\displaystyle n<4

を得ます。よって準備と同じように考えて

\displaystyle p_1 < p_2 < p_3 < p_4

という大小関係を得ます。

 

後は自分の手と頭を動かして欲しいのですが、一応解説しておきます。こういう所で、自分の手と頭で考えられない人は十中八九伸びません

\displaystyle p_{n+1}={p_n}

を解くと(計算しなくても)

\displaystyle n=4

を得ます。つまり

\displaystyle p_4=p_5

がわかります。

 

同様に

\displaystyle p_{n+1}<{p_n}

を解くと(計算しなくても)

\displaystyle n>4

を得ます。そして

\displaystyle p_5 > p_6 > p_7 > \cdots

という大小関係がわかります。以上をまとめると

\displaystyle p_1 < p_2 < p_3 < p_4 = p_5 > p_6 > p_7 > \cdots

と分かります。

例題127の解説の補足

こうは言っても、疑問がある人が大勢いると思います。「なぜ基礎問題精講の解説はあんな良くわからない計算をするのか?」という疑問です。

これは僕もよくわかりません。解説のような式変形に大きな意味があるのかもしれないけど、基本問題を扱っているというこの本のコンセプトからは外れてる解き方なんじゃないかな、と思います。ですので、解説の方法は無視するのが最良です。

例題 127 の補足(中級者向け)

この問題の問題文を読んだ時に、おそらく \displaystyle n=5 だろうな、という見当をつけられるようになって下さい。これが分からない人は「数学の勉強=計算技術の習得」だと思ってしまっている可能性が大です。

 

この問題では「白玉1個と赤玉1個である確率が1番大きくなるのはどんな時?」を考えています。

 

例えば \displaystyle n=1000 つまり、「袋の中に白玉5個と赤玉1000個」が入っている袋から玉を 2 個取り出した時に「赤玉1個と白玉1個」を出すなんて至難の業ですよね。

逆に \displaystyle n=1 つまり、「袋の中に白玉5個と赤玉1個」が入っている袋から玉を 2 個取り出した時に「赤玉1個と白玉1個」を出すのもちょっと難しいですよね。

 

そう考えていくと \displaystyle n=5 つまり、「袋の中に白玉5個と赤玉5個」が入っている袋から玉を 2 個取り出した時に「赤玉1個と白玉1個」を出すのが1番簡単だと考えられますよね。ですので、答の候補は \displaystyle n=5 なのです。数学がある程度出来る人はここまで考えてから問題を解いています

 

また、確率は直感に反することがあることも頭に入れておいて下さい。\displaystyle  p_4 = p_5 > p_6 なので

\displaystyle n=4 つまり、「袋の中に白玉5個と赤玉4個」が入っている袋

\displaystyle n=6 つまり、「袋の中に白玉5個と赤玉6個」が入っている袋

では、前者の方が「赤玉1個と白玉1個」となる確率が大きいです。

補足の類題

では、以上を踏まえて類題を見てみましょう。計算せずに答を出して下さい。解説はしません。

さいころを 20 個同時に投げたときに 1 の目が出たさいころの個数を数える試行を考える。この試行では 1 の目の出たさいころの個数が x である確率が一番大きくなる。x を求めよ。

 

 

 

 

 

答は 3 です。

例題 127 の参考にある問題の解説

念のため、参考にある問題の解説をしておきます。少なくても自力で 15 分くらいやってみてから解説を読んで下さいね。これくらいの応用が出来ないと理系に進んだら地獄が待ってるだけですので。めんどうなので、式の羅列で失礼します。

\displaystyle f(n+1)>f(n)

\displaystyle \frac{(n+1)(n+4)}{2^{n+1}} > \frac{n(n+3)}{2^n}

両辺に \displaystyle 2^{n+1} を掛けて

\displaystyle {(n+1)(n+4) > 2n(n+3)

この 二次不等式を解いて(  n は自然数なので 1 以上であることに注意すると)

\displaystyle 1 \leqq n < \frac{-1+\sqrt{17}}{2}

これを満たす  n は 1 のみです。よって \displaystyle f(2) が最大です。

 

もしかすると、最後の二次不等式を解かなかった人がいるかもしれません。

\displaystyle (n+1)(n+4) > 2n(n+3) を整理すると

\displaystyle  n^2+n-4<0

となります。\displaystyle  n^2+n は単調増加関数なので、この不等式を満たす  n は 1 のみとわかります。これで解いた人は数学を正しい方法で、しかもめっちゃ頑張ってる人だと思います。 

参考問題の類題

日本大学医学部 2015 年大問2(3) に類題がありました。是非、解いてみて下さい。解説はしません。答えは最後のまとめの所に書いておきます。

自然数  n に対して数列 \displaystyle \{a_n\} \displaystyle a_n=\frac{1}{2^n}(n^2-23n-48) により定める。数列\displaystyle \{a_n\} の最大値を与える  n のうち最大のものを求めよ。

例題 127 の背景(上級者向け)

上級者向けと書きましたが、難しいって意味ではありません。知っていても大きなプラスにはならないので気になる人だけで読んでね、って意味です。

定義域が実数で連続関数の場合、増減を調べる場合は微分します。つまり

\displaystyle \lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}

を考えます。\displaystyle \lim_{h \to 0} というのは極論すれば、 h には 0 に一番近い数(小さい数)を代入するってことです。定義域が実数だとそんな数は存在しないのですが、定義域が自然数である離散関数には存在しています。それは 1 です。これより 0 に近い数はありません。

 

よって、階差を考える、つまり

\displaystyle \frac{f(n+1)-f(n)}{1}

を考えるのは微分に相当する式変形なのです。ですので、離散関数の最大最小を考える問題に対しては

\displaystyle f(n+1)-f(n)

が正なのか負なのかを考えるのが定石なのです。理解していただけましたでしょうか。

例題127のまとめ

・読んでもわからないのは解説が悪いからです。

・参考に載ってる問題は解きましょう。類題が日大医学部で出題されています。答は 27 です。

・定義域が自然数である離散関数の最大最小を考えるときは階差を考えるのが定石です。

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