【過去問】杏林大学医学部2017の解き方と考え方

杏林大学医学部2017の考え方&解き方を述べます。また、取るべき問題、落としても良い問題も記載しております。すぐ下にある記号(◎や〇など)を参考にしてください。

 

以下で用いる記号について

・◎ 合格するためには取らないといけない問題

・〇 数学で点数を稼ぎたい人は取りたい問題

・△ 解かなくても問題ないであろう問題、もしくは経験がないと無理な問題

・✕ 制限時間内では解けないと思われる問題、もしくは難しい問題

 

大問 Ⅰ の考え方と解き方

問題

 

Ⅰ.(a)ア~ク◎、ケ〇 目標時間 10 分

ア:最初に A が勝ったら、次は C が勝たないといけなくて。。。と地道に書き出せばすぐにわかります。確率の問題では、すぐに計算を始めようとする人がいますが、状況を確認して、計算でやるのか、地道に書き出すのかを判断するのが一般的な方法です。

問題文は「反復試行の確率」を使う問題に近いですが、そうではないことは、書き出せばわかります(分からないとちょっと困ります)。

 

イ~ク:6 回であれば地道に書き出せばいいだろう、と判断します。これが 30 回とかであれば、確率漸化式かな?とか、規則性を見抜くんだろうな、と考える所ですが。

地道に書き出してみると、\displaystyle f(p)=\frac{1}{2}p(1-p)^3 となり、4 次関数なので微分して終了です。

 

ケ:これはセンス(感覚、直感)が問われています。赤本の解説にある通り、計算でも求まりますが、「A と B は全くの対等(以下の補足を参照)なので、確率は一緒のはずだ!」と判断できるかどうかが大事です。こんな短い制限時間の入試で、細かいことを考えている時間はありません。

 

補足:A と B が対等である、と決めつけた根拠を列挙します。

・お互いに勝つ確率が \displaystyle \frac{1}{2}

・A が C に勝つ確率は p 、B が C に勝つ確率も p

・最初に A と B が対戦する

 

この設定で A と B の優勝する確率が異なるのは直感に反しませんか?もちろん、確率では直感に反することはいくらでもあります。しかし、制限時間の短い時間で、検証する暇はないので、直感に従うべきでしょう。

 

直感で外したら外したで問題ありません。なぜなら、細かい検証が必要な問題なんて、他の受験生も解けないからです。それよりも、他の受験生は直感で答えて合っていて、自分だけが直感を使えなかった場合の方が不合格に近づいてしまいます

 

このような直感を養うのは大変だと思います。直感を養う為には、普段の勉強時から、ただ問題が解ければ良いではなく、別解や見通しの良い方法などがないか?を意識する必要があります。そして、これには時間がかかりますし、適切な参考書や指導者が必要です。ただ、杏林が第一志望である場合は、気にしなくても良いかもしれません。直感を使えなくても合格点は狙えます。

 

Ⅰ.(b)コサ◎、シス△ コサの目標時間 3 分

コサ:これも地道に書けばわかるので、落としてはいけません。杏林は、例えば(1)が解けなくても(2)以降は解ける場合がかなり多い(むしろ、ほとんどです)ので諦めないで下さい。

 

シス:「何回かの取り組みを行って~」という文章は、無限回やった場合どうなりますか?ということです。これは経験がないと見抜けないかもしれませんが、一応頭の中を紹介します。

「何回で終わる」と指定されてないけど、ひとまず書いてみるか~。最初に A が勝つ場合をまずは考えよう。

・3 回で終わる場合は ACC だから \displaystyle \frac{1}{2}(1-p)^2

・6 回で終わる場合は ACBACC だから \displaystyle \frac{1}{2}(1-p)p\frac{1}{2}(1-p)^2

・9 回で終わる場合は ACBACBACC だから。。。

 

と、この時点で、以下のことに気付かなくてはいけません

・この先は頭に ACB がくっつくだけだな

・最後は必ず ACC だな

・3 回で終わる確率 +6 回で終わる確率+\cdots となってて、いくらやっても終わらない可能性があるから無限を考えるのか

 

というような思考回路ですが、確率と無限等比級数の和の融合は、やったことがないと抵抗があると思います。類題は愛知医科 2017 Ⅲ と順天堂大学 2018 Ⅱ にあります。この 2 校の問題は「破産の確率」と呼ばれ、経験がないと無理です。

 

Ⅰ.(c)セ~テ×

シスまで解けた人にとってはボーナス問題ですが、辿り着けた人はほんの一握りの受験生ではないでしょうか。

 

大問Ⅰの答

(a)ア:①

イウ:\displaystyle \frac{1}{4}

エオカキク:\displaystyle \frac{27}{512}

ケ:②

(b)コサ:\displaystyle \frac{4}{9}

シス:\displaystyle \frac{1}{2}

(c)セソタチツテ:\displaystyle \frac{11-\sqrt{41}}{10}

 

大問Ⅱの考え方と解き方

大問Ⅱの問題

 

Ⅱ.(a)ア~オ◎、カ~ス△、セ◎ 目標時間10分

アイ:出来ないとダメです。

 

ウ:図形的に考えれば 0 なのは明らかです。

 

エオ:これは国語の問題ですね。問題文が「~を満たし、~なので、次式が成り立つ」となっています。この文章は、次のように考えてねってことを意味しています。

\left\{ \begin{array}{1} x^2+y^2+(z-1)^2=1\\ (x, y, z-1)\cdot (x-1, y, z-3)=0 \end{array}

後はこの両辺を引き算などすれば求まります。マーク式の問題ではこのように、文章の意味も考えないといけない、ということを覚えておいて下さい。

 

カ~ス:初見だった場合、もしくは平面の法線ベクトルを使い慣れていない場合は無理だと思います。時間がある人はこの機会に空間ベクトルを勉強すると良いでしょう。系統立てて勉強したい時は「Focus Gold ⅡB」がオススメです。薄い問題集だと代表的な問題しか載っていない場合があります。この問題の類題は「Focus Gold ⅡB」例題 406 にあります。

 

セ:「P の候補は無限にあるのに、長さなんて求まるの?」と最初思ってしまいました。適当に平面の図を描いてみたらいつものやつか、となりました。

P はどこに取っても長さは変わりませんね。三平方の定理だけで解けます。

 

Ⅱ.(b)ソ~ヌ◎ 目標時間10分

まず、(a) が解けなかったからと言って飛ばすのは厳禁です。繰り返しになりますが、杏林は、例えば(1)が解けなくても(2)以降は解ける場合がかなり多い(むしろ、ほとんどです)ので諦めないで下さい。

 

特にこの問題は、問題文を読むと \displaystyle \overrightarrow {AQ}=k\overrightarrow{AP} と式(*)しか使いそうにないと判断できます。ということは、エオが出来ている人は解ける可能性があるので、手を出さないといけません。

 

ソタ:問題文の指示通りに、\displaystyle \overrightarrow {AQ}=k\overrightarrow{AP} を成分表示したものと、 x+2z=3 をいじるだけです。

 

チ~ト:「これと式(**)より」という文章で、以下の操作を思いつくでしょうか?

「これ」:代入して\displaystyle \overrightarrow {AQ}=\frac{7-X}{4}\overrightarrow{AP} とする

「式(**)」:\displaystyle \overrightarrow{|AP|}=2 を使いたいから、上の式の両辺に絶対値をつけるのかな。

 

ナ~ヌ:平行移動する必要がありますが、公式通りです。

 

大問Ⅱの答

(a)アイ:x^2+y^2+(z-1)^2=1

ウ:0

エオ:x+2z=3

カ~コ:\displaystyle \left(\frac{1}{5}, 0, \frac{3}{2}\right)

サ~ス:\displaystyle \frac{2\sqrt{5}}{5}

セ:2

(b)ソタ:\displaystyle k=\frac{7-X}{4}

チ~ト:\displaystyle X^2+2X+\frac{4}{3}Y^2=3

ナ~ヌ:(-2, 0, 0)

 

大問Ⅲの考え方と解き方

大問Ⅲの問題

 

Ⅲ.(1)アイ◎、ウエ〇 目標時間5分

アイ:分母→ 0 のときは分子→ 0 となる必要がある、といういつものやつです。

 

ウエ:一見簡単そうに見えますが、意外に正答率が低いです。原因はおそらく、三角関数は公式がたくさんあり、どのように式変形したら良いか見抜くのが難しいからだと思います。実際、僕も解いている時は、なぜ、このような式変形をしたんだろ?と自分でも判然としないことがありました。

 

この問題をパッと見て、以下のことが思いつきます。

①:三角関数の極限の基本は \displaystyle \lim_{\theta \to 0} だから、\displaystyle \theta -\frac{\pi}{3}=t と置換しようか

②:分母を因数分解して、分子も 3 倍角などで展開して因数分解しようか。もしくは和積

③:分母は半角の公式を使って、分子は 3 倍角などを使って因数分解しようか。もしくは和積

 

僕は③だろうなと思って、それで解けてしまったのですが、結構迷うのではないでしょうか?なぜ他のものを選択しなかったと言うと

①:加法定理は計算がめんどうなので極力使いたくない

②:因数分解した後は約分するのだから、全部 \theta が出てくる形が良い

というような感じです。

 

Ⅲ.(2)オ~ソ〇、タ~ニ× 目標時間15分

オ~ク:まず 2 つ道が見えると思います。

①:最初に f(x) を決定し、\displaystyle \frac{\pi}{6} を代入する

②:最初から\displaystyle f\left(\frac{\pi}{6}\right) を計算する

 

②を考えてみると、与式が \displaystyle \frac{0}{0} となってしまうので、違うなと判断します。

①を考えます。α 倍角の公式なんて存在しないので、今度は和積を考えます。実行すると

\displaystyle \lim_{\alpha\to 2}\frac{-2\sin{\frac{\alpha +2}{2}}x\cdot \sin{\frac{\alpha-2}{2}x}}{(\alpha-2)(\alpha+3)}

となります。ここから先は  \alpha-2=t と置換しても良いし、そのままやっても良いですね。 \displaystyle \lim_{\theta \to 0}\frac{\sin \theta}{\theta}=1 を使えるようにうまく変形して下さい。

 

ク~ソ; \displaystyle f(x)=-\frac{1}{5}\sin{2x} と求まってしまえば、単なる計算問題です。

 

タ~ニ:これを制限時間内で処理するのは無理だと思います。難しいです。共有点を持たないと言われたら以下のことを考えます。

①:\displaystyle -\frac{1}{5}\sin{2x}-(ax+b) を微分して最小値>0 または最大値<0 を考える。

②:y=f(x)y=ax+b のグラフを描いて、交わらないを考える。

 

①について。実際にやってみればわかりますが、どうにもなりません。極値すら求まりません。ここで①は諦めます。

 

②について。f(x) のグラフを描かないといけないのですが、①で微分しても極値すら求まらなかったことを思い出し、どうしよう?となりました。他に出来ることないから諦めようと思っていたら、ふと\displaystyle y=e^{-x}\sin x のグラフを知っていることを思い出しました。どんな数Ⅲの問題集にも載っているはずです。「Focus Gold Ⅲ」例題 276 にあります。

 

これでなんとか事なきを得たのですが、試験場だったら無理だったと思います。グラフは他にも\displaystyle y=x\log x , y=\frac{\log x}{x} は覚えておくべきでしょう。

大問Ⅲの答

(1)アイ:k=-2

ウエ:-2

(2)オ~ク:\displaystyle \frac{-\sqrt{3}}{60}\pi

ケ~サ:\displaystyle \frac{-2}{5}

シ~ソ:\displaystyle \frac{-1}{10}

タ~ニ:\displaystyle a>\frac{1}{5} , b>0 または \displaystyle a<\frac{-1}{5} , b<0

 

大問Ⅳの考え方と解き方

大問Ⅳの問題

 

Ⅳ.(a)ア~ク◎ 目標時間5分

ア~カ:これを落とした人は媒介変数表示の意味がわかってないんだと思います。身の回りの人に、媒介変数表示された関数のイメージを教えてもらって下さい。

 

キク:x 軸とのなす角といえば tangent ですね。ただし、tangent で扱う角度はx 軸の正方向から測った角度です。なので、「なす鋭角が \displaystyle \frac{\pi}{6} 」と言われた場合は、\displaystyle \tan\theta=\pm\frac{1}{\sqrt{3}} のどちらになるかわからないので注意が必要です。

 

Ⅳ.(b)ケ~シ◎ 目標時間3分

ケ~サ:生物選択者には馴染みがないかもしれませんが、教科書に公式が載っています。当てはめるだけです。ただ、根号を外すところは計算力がないと難しいかもしれません。

 

シ:やはり公式にあてはめるだけです。

 

Ⅳ.(c)◎ 目標時間3分

0\leqq t \leqq 1 では常に y\leqq 0

 x については単調増加

とわかれば、いつも通りにパラメータ積分すれば OK です。もし、y\leqq 0 となるところがあれば積分区間を分けないといけません。また、 x が単調増加でない場合は、めんどうなことになります。ここでは触れません。

 

補足:めんどうなことになります。と書きましたが、Uターンしてても計算式は同じになってしまいます。東京出版の「微積分基礎の極意」p.119 に載っています。

補足:岩手医科 2017 の大問 3 に類題があります。

 

大問Ⅳの答

(a)アイウ:\displaystyle \frac{3-\sqrt{3}}{3}

エ~カ:\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{9}

キク:\displaystyle \frac{2}{3}

(b)ケ~サ:3t^2-6t+4

シ:2

(c)ス~タ:\displaystyle \frac{4\sqrt{3}}{15}

 

 

杏林大学2017のまとめ

合格最低点は非公開です。

各小問に関連性がないことが多く、詰まったら飛ばして、取れるところをかき集めるという姿勢が大事なセットでした。あちらこちらに解けない問題があって、精神的にきつかったと思います。医者になるのですから、そこで折れずに精一杯自分の出来ることをやる、というメンタルの強さは必要だと思います。

Ⅳを確実に得点して、後は Ⅰ~Ⅲ で部分点を稼ぎましょう。苦手な人は 5 割もあれば十分でしょう。得意な人でも 6 割とるのに苦労したのではないでしょうか。

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