授業をしない塾について考えてみた

「ACE Academy」や「武田塾」など、授業をしない塾が流行っているそうです。この2つの塾に関して僕が感じたことをまとめてみます。「なぜこの2つなのか?」と思う方もいるかもしれませんが、単に他に似たような形態の塾を知らないからです。

 

今から色々と書いていきますが、僕はこの2つの塾に対して賛成も反対もしません。塾に何を求めるかは個人の自由です。まぁ僕の受験生時代にこのような塾があったら入るのか?と問われれば「十中八九入ってないだろう」と答えますが(笑)

 

この記事では私立医学部は関係ありません。勉強全般に関してのお話です。

「ACE Academy」と「武田塾」の2019年の合格実績

各塾の詳細な合格実績を知りたい方はHPを参照して下さい。僕は必要な所だけを抜き出します。両方の塾を否定しているように見えるかもしれませんが、それは誤解です。ある程度出来る人をきちんと伸ばして合格に導くのは簡単ではありません。そこはきちんと認めています。ただ、塾の宣伝が誇大広告なんじゃないか?と思うだけです。

ACE Academyの2019年の合格実績

合格した大学 2018年センターの英数理の結果(%) 模試の成績
神戸大学医学部 87
横浜市立大学医学部 78 2017年駿台全国判定で総合56.7(数学66.2、英語49.1)
筑波大学医学部 87.5
群馬大学医学部 82.3
浜松医科 85.8
浜松医科 79.5
日本医科 高2駿台全国模試で数学65.5 英語55.8
日本医科 83
日本医科 7月の入塾で8月の全統記述模試で総合偏差値66.7
昭和大学医学部 4月入塾で5月の全統記述模試で総合偏差値63.4
聖マリアンナ医科 60.3 2017年第3回全統記述で総合55
埼玉医科 2017年第3回全統記述で総合53.5(数学59.9、英語57.4)
獨協医科 68.3 2017年第3回全統記述で総合53

参照:ACE AcademyのHP

合格実績はすごいですね。1教室でこれだけの実績はすごいと思います。ある程度実力がある人にとっては通う価値がありそうです。ただ、正しい勉強の方法を伝える、とのことですが偏差値40代の人が全然合格していないのですが、これで良いんですかね?出来ない人を出来るようにするのが、正しい勉強だし、教育だと思うのですが…。

 

もちろん、偏差値40代の人が1年で医学部に合格するのは厳しいでしょう。でも2年あれば、なんとかなるのではないでしょうか。合格実績は2019年しか見ていないので、2018年はそういう人がいるかもしれませんが…そうだったらごめんなさい。

 

横浜市立大学に合格した人が「基礎問題精講」しか使っていないようですが、横市の問題は基礎問だけではどうにもならないような…。おそらく過去の経験が生きたんだと思います。これだけを見て「基礎問だけ完璧にすれば横市の医学部に行けるのか!」とは思わない方が良いかと思います。

 

余談ですが、ACE Academyの生徒さんを受け持ったことがあります。前年にこの塾に通っていた浪人生がうちの予備校に来たことがありました。「基礎問は5周しました」というので、ⅠAの中からいくつか問題を出してみたところ、全く解けないし、意味がわかってなかったんですよね。ACE Academyって適当な塾だな、と思ったんですがこれは僕の勘違いでした。

 

この生徒は、論理が弱い、日本語能力が低い、暗記でどうにかしようとする、という子だったのですが、更にまずいのは自分のやり方を変えようとしないんですよね。結局、うちの予備校もこの生徒の考え方を変えることは出来ず、どこか違う予備校に飛び立っていきました。まだ、どこも受かってないだろうなー。この生徒のことでACE Academyさんの担当者さんと酒でも飲んでみたいな(笑)

武田塾の2019年の合格実績(有名大学理系のみ)

合格大学と学部 出身高校(偏差値) 備考
東京大学理科一類 開成(78) 校内模試で平均くらい
阪大理学部 桃山学院(51-73) 入塾前に模試でD判定
阪大理学部 池田(63) 数学の偏差値は70程度あったが他は55程度
名大理学部 不明 学年1位
日大医学部 不明 入塾前の偏差値が60
埼玉医科大学 不明 入塾前の偏差値が59

参照:武田塾HP

武田塾は逆転合格を謳っていますが、逆転って感じは全くないですね。ある程度出来る人が演習量を増やしたり基礎の抜けを少なくして合格していったという感じでしょうか。偏差値40代の人が1年で旧帝大理系に入れたら「逆転合格」と言われても納得できますが、これだとイマイチですね。理系科目が全然ダメな人が武田塾に通ってもかなり厳しいんじゃないでしょうか。

 

合格の天使のにも書いてありましたが、理系上位校を勉強量だけでどうにかするのは無理があります。そんなことが出来るのは私立文系のみです。なので、おそらく武田塾が活躍できるのは私立文系だけでしょう。早稲田や慶應の文系学部を目指す人が武田塾を選択するのはアリなのではないでしょうか。

 

後は、数学がよく出来る理系の人で、英語や化学、生物、センター科目を受講するのはアリかもしれません。物理は良くわかりませんが、僕だったら避けます。微積分を使って厳密にやってくれた方が大学に入ってから役立ちそうだからです。

 

最後にもう一つ、理系に逆転なんてないですよ!逆転合格なんてものを謳っていたら詐欺だと思いましょう。理系は基本的に思考量と実力が比例すると考えています。勉強時間はそこまで重要ではありません。今まで一つ一つをちゃんと考えずに暗記に走っていた受験生が、3年間以上自分の頭で必死に考えてきた受験生に勝てるわけがありません。難関大に行けば行くほど、その傾向は顕著に現れるでしょう。

 

私立文系は覚える量を増やせば合格できます。極端な話、山川の参考書に書いてあることを全て覚えれば早慶どちらも受かるのではないでしょうか。しかし、理系は無理でしょう。偏差値40くらいの受験生に「チャートを見ながらでいいので、早慶の問題を解いてみて」としてもまともに解けないのは目に見えています。

授業とは何のために受けるのか

皆さん、何のために授業を受けているかわかっていますかね?それは、出来る人の思考回路を身につけるためです。数学が出来る人と出来ない人では式の見方が全然違うことが多々あります。授業は、それを身につけたり間違った考え方を矯正する場だと考えて下さい。例えば、「理系数学入試の核心 標準編」の問題115を見てみます。

関数\displaystyle f(x)=\frac{\sin x}{3+\cos x} の最大値と最小値を求めよ。

どうやって解きますか?30秒ほどで良いので考えてみて下さい。

 

 

 

 

 

微分しようとしましたか?それでも間違いではありません。でも分数は傾きとも解釈した方が簡単で速いです。つまり

\displaystyle f(x)=\frac{\sin x -0}{\cos x -(-3)}

とすれば、この問題は「単位円周上の点と(-3 , 0)を結ぶ直線の傾きの最大と最小を求めている」と解釈できるのです。このように、問題を見たときに、どういうことを発想するべきなのか、を身につけるのが塾や予備校で学ぶことの意味です。

 

そして、これをしっかり身につけ、練習問題で実践していくのが復習と呼ばれるものです。ここをさぼっていては、いつまでたっても出来るようにはなりません。ここで少しだけまとめます。

・問題を見たときに、どう考えるのかを教えてもらう

・授業を受けて数日のうちに、同じ問題を、同じように解けるようにしておく(発想も含めて)

・次の授業までに、その考えを用いる練習問題を解いておく(このためにテキストに練習問題がついてるのですよ!)

これを全てやって、初めて授業を受ける意味があるのです。そして、これは予備校講師のようなトップレベルの実力を持っている人から学ばないと意味がありません。数学が出来ない人は、問題を見て発想できる量が少ないのです。僕の恩師(東大医学部卒)も「生徒の実力の上限は、教える人の実力の60%くらい」とおっしゃっていました。これを思い出すたびに、俺は予備校で授業してていいのかな?と思ったりもします(笑)

 

この辺のことをよくわからずに「授業を受けても意味はない」と言っているのが武田塾でしょう。確かに、日本史や世界史であれば授業受ける意味はなさそうですが、数学や物理は考え方を学ばないといけないので、授業を受ける意味はあります。おそらくこういう所が原因で、「私文が理系について語ってんじゃねーよ」と言われているのでしょう(笑)

自学自習の塾に行くことを悩んでいる人へ

武田塾やACE Academyで合格している人たちは、上記のようなことを一通り学んでおり、後は演習しかやることがないから合格している可能性が高いです。一通り身につけた人がもう一年予備校や塾に通う必要はないですもんね。なので、皆さんが自学自習の塾に行くか迷っていたら「自分はどの程度考え方を身につけているのか」を自問自答して下さい。一通り身についていたら自学自習が一番速いです。

 

現に、医科歯科大学や慶應医学部のアルバイトさん達は、予備校時代はほとんど授業に出ていなかったと言います。自習室で勉強して、たまに授業に出ていただけだと。それは現役時代に必要なことはほとんど身につけていて、後は演習すれば良いだけだと実感していたからです。これを勘違いして、全然実力がない人が「じゃあ自分も自学自習だけで医科歯科にいけるんだ!」と思ったら大間違いですので気をつけて下さい。

 

身についていない場合は塾に通うか、適当な参考書を買って勉強しましょう。考え方や発想を身につける参考書もあります。ただ、どれも標準問題を解けることを前提にしています。つまり、標準問題がちゃんと出来ないと読めない可能性が大です。そこら辺のバランスをうまくとっているのが塾の授業です。

まとめ

・自学自習が出来るためには、ある程度の実力が必要

・私立文系に行くなら、武田塾で良い。理系はやめとけ

・理系で最難関まで行くなら、自学自習だけは結構きつい。ただし、ある程度の実力があれば、予備校の授業を補える参考書はある

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