【過去問】島根大学医学部2019年の数学を考察する

島根大学医学部の過去問を解いている時に考えたことや、どうやって対策したら良いかの意見を書きます。参考になれば幸いです。

島根大学医学部2019年 大問1

(1)で考えたこと

まず注目したのは3つです。

①:2辺しか出てこない

②:不等式である

③:根号(ルート)をどうしようか

①について

三角形関係の道具で、2辺しか使わないのは正弦定理です(余弦定理は3辺使います)。でも②や③と関連付けられないので諦める。

②について

パッと見で思いついた不等式は以下の3つです。

・三角形の成立条件

・相加相乗平均の不等式

・三角不等式

直感で、一番可能性が高いのは成立条件だなと思って式変形してみる。

a<b+c と条件の c<b より

a<b+b

これでa<2bが得られます。ここまで来て、「条件にある\displaystyle \sqrt{\frac{ab}{2}}<bは2乗して式変形したら、この形になるんじゃないか?」と思いつき終了。

 

難しくはないですが、そんなに簡単でもないと思います。でも証明問題なんて出来なかったらいさぎよく捨てても良いのではないでしょうか。(1)を証明できなくても、(2)以降で「(1)の不等式より~」と書くのは許されていますので。時間が余って、閃いたら空いてるスペース((4)の後でもOK)を使って証明すれば良いのです。

(2)で考えたこと

問題文をちゃんと読まないと、余弦定理などを使って a, b, c の式にしてしまいそうです(笑)三角形の形状決定の問題ではないので、本問ではそんなことはしません。さて、このような証明問題の定石は以下の3つです。

・左辺を計算していったら右辺になることを示す。

・右辺を計算していったら左辺になることを示す。

・左辺を計算したものと、右辺を計算したものが一致する。

また、左辺の \cos B をどう分解するか?を考えると以下の二択だと思います。

①:余弦定理

②:倍角(半角)の公式

余弦定理を使うと右辺にいない a が出てきてしまいます。また、右辺に半角がいるので \displaystyle \cos B=1-2\sin ^2\frac{B}{2}を使うのが本線だろう、と考えます。

 

この問題は解けないといけません。

(3)で考えたこと

・面積は \displaystyle \frac{1}{2}bc\sin A を使うんだろうな

\rm{MN}^2 は角Aに注目して余弦定理を使えば表せるな

・不等式はまだよくわからん

・(2)と式が似てるなぁ

①:面積の二等分を式で表せば 2mn=bc となります。(AMの長さを m などと置いてます)

②:△AMNに余弦定理を使えば  \rm{MN}^2=m^2+n^2-2mn\cos A となります。

②から、示すべき式は以下になります。

\displaystyle m^2+n^2-2mn\cos A \geqq bc(1-\cos A)

①を使えば、以下になります。

\displaystyle m^2+n^2-2mn\cos A \geqq 2mn(1-\cos A)

式を整理すれば

\displaystyle m^2+n^2-2mn \geqq 0

となるので、当たり前の式ですね。

(4)で考えたこと

問題文を読んで最初に思ったことは「この試験受けてたらとりあえず飛ばすだろうな」です(笑)めんどくさそう。とりあえず考えたのは以下のことです。

・(3)がヒントだろうから、まずは利用してみよう

・(2)はどこで使うんだ?

・(1)はどこで使うんだ?

1番目を手掛かりにすると、以下のように3つの式を立てることになります。

 \rm{PQ}^2\geqq bc(1-\cos A)

 \rm{PQ}^2\geqq ab(1-\cos C)

 \rm{PQ}^2\geqq ac(1-\cos B)

ここで当たり前のことですが、気づかないといけないことがあります。それは例えば、最初の不等式の意味は

\rm{PQ}^2の最小値がbc(1-\cos A)

ということです(本来は等号の成立を確認する必要があります)。不等式を不等式としか認識できない人が結構います。気づかなかった人は式の意味を考える癖をつけて下さい。

 

よって、最小値が3つ与えられたので、その中でどれが一番小さいのかを探すことになります。ペアを作って引き算すれば良いだけですね。例えば、1番目と2番目を比べると

bc(1-\cos A)-ab(1-\cos C)

を考えることになります。そして bでくくれば(2)が使えることに気づきます。引き算した値が正か負かを考えることと、(2)の右辺の符号を考えることは同じ意味です。そして、符号が変化するのは

 \displaystyle \sin \frac{B-C}{2}

のみです。残りは全て正の値です。これでどれが一番小さいかがわかります。

 

ところで、(1)は何のためにあったんだろうか。いまだに謎です。

※追記:等号成立条件を出した後に、PとQが線分上にあることを示す時に(1)が必要になります。良くできていますね。失礼しました。

島根大学医学部2019年 大問2

(1)で考えたこと

教科書の例題にありそうな問題ですね。

(2)で考えたこと

辞書式順列と言われるものです。大多数の人がやったことあるはずです。ただ、「4桁」と書いていないことに気を付けないといけません。つまり、最小の数は「1」となります。問題文は注意深く読みましょう。問題を解き終わった後に、確認のためにもう一度読むくらいの慎重さがあっても良いと思います。

 

ちなみに、僕は1分以上かけて文章の意味を確認しました。ここで解釈を間違えると全てが水の泡になってしまいます。

(3)で考えたこと

「判別式D \geqq 0だけしか使わないだろうけど、数えるのめんどくさそうだな」というのが問題文を読んだ時に思ったことです。逆に言えば、数え漏れがなければ必ず得点できる問題です。なので、失点は許されないでしょう。

島根大学医学部2019年 大問3

(1)~(3)で考えたこと

普通に勉強していれば、誘導がある漸化式は99%解けます。普段の勉強では「ほとんどの漸化式は誘導がなくても解ける」そのようなレベルを目指して勉強して下さい。練習は本番よりも厳しく、が原則です。

(4)で考えたこと

考える必要はありませんでした。単なる計算問題です。

島根大学医学部2019年 大問4

(1)で考えたこと

積分区間に x が入っていれば両辺を x で微分するのが定石です。

念のため確認しますが

\displaystyle \int_{a}^{x} f(t) dt

 x の関数であることは認識できているでしょうか?これがわからずに公式だけ覚えるのは愚の骨頂です。また、理系では証明まで知っておかないと、落とし穴にハマる可能性があります。証明まで身に着けておいて下さい。

(2)で考えたこと

これも教科書レベルですね。 x=a を代入して方程式を解くだけです。誰しも経験があると思います。

(3)で考えたこと

証明の方は簡単です。教科書レベルですね。

 

ただ、極限の方は経験がないと厳しいと思います。まぁ医学部を目指して勉強していれば、どっかで出会ってるはずですが…。

 \displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{log x}{x}=0

この極限は常識にしておいて下さい。島根大学の合格最低点を考えると、この証明は出来なくても、他の所でちゃんと取れていれば問題ないはずです。余裕があればこの機会に証明を身に着けておきましょう。

(4)で考えたこと

教科書レベルですね。

島根大学医学部2019年のまとめ

大問1は非典型問題ですが、難しくありません。誘導にうまく乗ったり、三角比の式変形を試行錯誤したりと、普段の勉強で自分の頭と手をどれだけ使っているかが色濃く反映しそうです。

※追記:月刊「大学への数学 1月号」で難易度C、目標時間 40 分という判定でした。ですので、出来なかった人はそんなに気にする必要ないです。ただ、0 点はダメだと思います。(2) と(3) は確保してほしいです。

 

大問2は問題文をちゃんと読んでいるか?が重要でした。また(3)では計算ではなく、漏れなく数え上げられるかがポイントとなります。漏れなく正確に、は医者にとって必須の能力ですし。おそらく今後もこのような問題が出るのではないかと思います。このような問題に苦手意識を作らないで下さい。中学生でも出来ます。PやCを使わない問題になると、いきなり出来なくなる受験生がいますが、確率の問題への接し方が間違っています。

 

大問3は基本レベルです。絶対に落とせません。

 

大問4は(3)で  \displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{log x}{x}=0 を示す所以外は教科書レベルです。おそらくですが、この式を証明なしに使うと減点されます。これを証明して欲しいから、不等式の証明があるんだろうな、と空気を読んで下さい(笑)もちろん、減点覚悟で使うのはOKです。

 

絶対落とせない問題は以下です。

大問1(2)

大問2(1)(3)

大問3

大問4(3)の極限の証明以外

これらは全て教科書レベルの問題です。これで60%くらいはあります。教科書レベルの問題で、60%近く取れるので数学が苦手な人でも十分戦えるセットです。数学が得意な人は90%くらいとれるでしょう。

2019年の問題を解いて感じたのは、教科書が完璧なら合格できそうってことです(英語が激ムズでなければ)。医学部用の講習や参考書を使う必要はありません。例えば、「基礎問題精講」や「入試数学の基礎徹底」を完璧にすれば60%くらいは取れます。その上で、もっと取りたいというのであれば、大問1のようなうまく誘導に乗らないといけない問題や、証明問題の対策をしましょう。

 

総括

・60%程度とるだけなら教科書と教科書+αの問題集で十分

・上記に加えて、誘導に乗る練習をしておけば+10%くらいは上乗せできる

・証明問題は必須。普段から練習する。

・図形問題が好きかも

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